suetumuhanaのブログ

日常のエッセイ

奥嵯峨の小さなお寺

竹の小径を通り過ぎて落柿舎を過ぎてまだまだ歩いたところ鳥居本を目指してずんずんと歩いていくと滝口寺があります。小さなお寺です。立派なお庭があるわけでもなく佇める広間があることもありません。そんなお寺に桜の頃や紅葉の頃よく行きました。そんなお寺ですから雑誌に載るようなこともなかったし訪れる人はそんなにいませんでした。私たちが行ったときはいつも私たちだけでした。そんなお寺にいつもおばあさんがいらして私たちに座布団を勧めてそこにきちんと座った私たちに「滝口入道と横笛」のお話をされるのです。その内容はいつも決まっていて毎回私たちは初めてその話を聞くような顔をして聞き入るのでした。もうあれから40年近く経ってしまいました。そのおばあさんももうずいぶん昔に見なくなりました。私はその思い出を反芻するように滝口寺に行くのです・

むかし公衆電話で

秋になるとあることを思い出します。むかし公衆電話電話で片思いの彼女をデートにさそったことです。家の電話はみんなが取りやすいところに鎮座していましたのでそんな電話を使ってのデートへのお誘いなどもってのほかです。そこでいそいそと公衆電話まで出かけるのです。それも一人では少々心細いので口の堅い友人にわざわざ同行してもらいました。心臓がのどから飛び出すような経験をした後そんな私に彼女は付き合ってくれました。御所の芝生とか落ちそこに舞い散る落ち葉を踏みしめたときの香りそして街並みの中に大輪の菊の三本仕立てを見つけるとケーキ屋さんの「不二家のペコちゃん」の前でさよならをしたあの頃を思い出します。

ヒヤシンスの水栽培

去年に続いてヒヤシンスの球根を水栽培しました。一冬越えたころにはきれいな花が咲くことでしょう。根が出て芽が出てゆっくりと成長するヒヤシンスを眺めながら生活してゆきます。そういえばちょっと昔はこのようにいろんなことがゆっくりしていました。携帯電話がなかったころは他人に電話するのにちょっとした覚悟がいりましたし、「ユニクロ」がなかったころは冬になる前に手編みのセーターが恋人同士の間で行きかっていたものです。コンビニエンスストアのなかったころは明日の用意を今日中にすることに全力を注いだものです。