suetumuhanaのブログ

日常のエッセイ

彼女は長崎から来ました

私たちのサークルは体育会ほど重厚ではなかったけれど愛好会のように軟弱でもなかった。他校との試合も結構あったし、それから春と夏の合宿も結構本気だった。夏は毎年富士山の見える民宿で十日間の缶詰状態だった。(先輩たちはその状態を禁パチと呼んでいた)毎朝きれいな富士山が窓の向こうの山中湖越しに現れると京都ほど湿度がない分ちょっと楽なんだけどそれでも結構日差しのきつい中午前と午後に練習があった。午後の練習の最中に休憩時間があって牛乳が配られた。瓶の牛乳なんて小学校の給食以来なんで慌てて飲んで口の両側からこぼれるようなこともあった。それでも春には新入生の歓迎また夏や冬の休み前にはコンパの大騒ぎもあった。毎回、肩を組んで校歌と応援歌とサークルの歌を歌ってコンパが終わるのだった。さてそんなところへ長崎出身の大変おとなしい人が入部した。彼女は高校時代文芸部で活躍していたらしく文章が大変上手でサークル内で発行する当時手書きガリ版刷りの誌面にいつも景色が目に浮かぶような文章を載せていたものだ。それにしても何か不思議な雰囲気を持っている人でそれでも合宿やコンパでは校歌と応援歌、サークルの歌も一緒に歌った。今もうすっかりいい年の重ね方肩をしているご婦人になっておられることだと思う。