suetumuhanaのブログ

日常のエッセイ

奥嵯峨の小さなお寺

竹の小径を通り過ぎて落柿舎を過ぎてまだまだ歩いたところ鳥居本を目指してずんずんと歩いていくと滝口寺があります。小さなお寺です。立派なお庭があるわけでもなく佇める広間があることもありません。そんなお寺に桜の頃や紅葉の頃よく行きました。そんなお寺ですから雑誌に載るようなこともなかったし訪れる人はそんなにいませんでした。私たちが行ったときはいつも私たちだけでした。そんなお寺にいつもおばあさんがいらして私たちに座布団を勧めてそこにきちんと座った私たちに「滝口入道と横笛」のお話をされるのです。その内容はいつも決まっていて毎回私たちは初めてその話を聞くような顔をして聞き入るのでした。もうあれから40年近く経ってしまいました。そのおばあさんももうずいぶん昔に見なくなりました。私はその思い出を反芻するように滝口寺に行くのです・