suetumuhanaのブログ

日常のエッセイ

京都の喫茶店

僕たちはその日初めて喫茶店にはいった。まだ高校に入ったばかりの僕たちには喫茶店という単語が何か怪しい響きをまとっていた。京都は学生の街でありまた室町や西陣に代表される旦那衆のまちなのでおそらく喫茶店の数も多いんだとおもう。僕たちにとって喫茶店はまだまだ大人がタバコをくゆらしながら、コーヒーを飲む場所で学校帰りの僕たちの行くところではなかった。それでも高校に制服がなかったことをいいことに学校帰りに細い階段をトントンと下って行ったらそこに思いのほか広い空間が存在していて四人掛けのテーブルと赤いシートの椅子が並んだタバコの煙もそんなに苦にならないちょっとしゃれた喫茶店があった。僕たちは一番安い「ホット」と木の上の鉄板をのせてまだジュウジュウいっているままのスパゲティナポリタンで二時間ほど話に夢中になった。毎回誰かの悩み相談(女子でいうところの「恋バナ」)である。