suetumuhanaのブログ

日常のエッセイ

あの本はどうしましょう

かなり以前にお借りした本をどうしましょうかと友人に尋ねられました。その方はたくさんの本があるんでちょっと整理中だそうです。私自身はその本をその方にお譲りしたつもりでいましたのでどうぞ誰か本の好きな方にお譲りくださってかまいませんよと申し上げました。さてその本というのが2冊ありまして、どちらも京都が舞台になっている小説なんです。そのうち一冊は懸賞で当たったもので著者のサイン入りです。そこでその本を次に譲るお相手について一つ注文をつけておきました。それが「京都で育った方かあるいは京都で青春時代を送られた方に譲ってくださいね。」という事です。その時私の脳裏に浮かんだのがかの小説の中にある京都の香りという事でした。たとえばそこに「二人で時雨まじりの三年坂を歩きました。」とあるとします。すると私たちはその現実以上に普段にぎやかな観光地のかの坂道なのに時雨まじりというだけでただよう哲学の道でも嵐山でもない香りを感じるものです。そしてそんなことは世界中のどの地域にもそこで培われた文化や習慣等によってご当地に人間にしかわからない事柄があって当然だと思うんです。