suetumuhanaのブログ

日常のエッセイ

なごり雪が聞こえていた頃

軽音楽部の彼女はイルカにあこがれているので「イルカ」のシールを貼ったギターを抱えてひょこひょこと登校してきた。僕たちの部室の隣が軽音楽部だったんで放課後はギターやらフラットマンドリンやらバンジョーやらの音がにぎやかに聞こえてくるのだった。僕たちは演劇部と部屋がおんなじで毎日楽しく高校生活をやり過ごしていたんだ。かの「イルカ」嬢にあこがれてイルカのファンになることもなく僕たちはある者はキャロルのレコードを大音量出かける奴がいるしある者は中島みゆきがいいとそればかり聴かせる奴がいるしそれでもアコースティックの静かなフォークに自分の人生というほどでもないほど長く生きていないのに自分の人生を重ねたりしたもんだ。