suetumuhanaのブログ

日常のエッセイ

万年筆が見つかった

もう40年ほど昔、おそらく高校入学の折に買った極細のペン先の万年筆がふとしたことから見つかりました。私は、このペンに必ず黒インクを入れました。極細で黒インクで書く文字がいちばん神経質に見えてかっこいいと思っていました。このペンで多くの手紙を書きました。おそらく愛する言葉を書いたことでしょうしまた文字で人を知らずに傷つけたことでしょう。そんなことで人生に寄り添っていたといえるペンです。ある日もうお付き合いをしなくなった女性からお手紙をいただきました。水色の文字でした。「文字が水色ですが意味はありません。」と文末に書かれた文章にちょっと心が揺れました。「喫茶店で時間をつぶすこと」や万年筆で手紙を書くことがキラキラした時間だったあのころのおとぎ話です。