suetumuhanaのブログ

日常のエッセイ

夏に喫茶店

高校に入学したての頃は喫茶店は不良のたまり場じゃないかと思っていてなかなかお店に入れなかった。ちょっと雰囲気の緩いところはそうでもなかったんだけど当時まだ純喫茶という言い方が残っていてそんな格調高いお店なんかにはとても高校生同士では入店できなかった。ところがそんな日もやがて過ぎて、春から夏へと季節が変わる頃僕たちは学校の帰りに歩道から地下へ細い階段を下りてゆく静かな喫茶店を見つけよく寄ることになった。もうすっかり夏でクーラーのよく効いたお店でアイスコーヒーを「レイコ」と呼びレモンスカッシュを「レスカ」とイッパシによんで時間をつぶした。店を出るとむっとした気温と目が覚めるような黄色の花びらが満開のひまわりの咲くまちを僕たちは「夏が大好き」という気分で歩いたものだ。当時はやっていた「三輪車」というバンドの「水色の街」という曲が僕たちのお気に入りでそれは今でも変わってなくてカラオケなんかではまず最初か二番目にこの歌を誰かが歌うのである。