suetumuhanaのブログ

日常のエッセイ

名曲喫茶

学校の帰りの道すがら小さな名曲喫茶店がありました。公園の向かいの住宅街に中にあってちょっと注意していないと通り過ぎてしまうような店でした。よく行っているクラシック音楽好きの友人から教えてもらってちょくちょく学校の帰りに寄っていました。ところが私はクラシック音楽がそんなに好みではなくてでも当時の大きないい音のするスピーカーとたぶんいい値段のするステレオとレコード盤の上で神経質に動いているレコード針がとてもかっこよかったのでそれを見に行っていたよなものです。それとその店にはだれでも自由に書き込みができるノートが置いてあってそこの客が一杯のコーヒーを飲みながらそこにだらだらと好きなことを書き込むんです。当時直指庵にあった「思い出草」のようでした。

久しぶりの早朝のぞみ

去年の秋に早朝のひかりで小田原駅まで行ったときは自由席の車両一両に客が二人というゆったりしたものだったんだけど今回、同じ早朝ののぞみはさすがに指定席ですら満員の乗客でした。皆、朝早くからそんなに忙しいのかと思います。その上席に着くなりスマートフォンにイヤホンマイクをさして前の椅子の裏のテーブルを引き出してそのスマートフォンをテレビ代わりに何やら観賞しておられます。反対側の隣人はテーブルの上にパソコンを置いてふたをパカッとひらいて仕事を開始されました。三人席の真ん中に座った私はこうなればあくまでも地味に持ってきた読みかけの文庫を開いて読書を開始しましたが車両にそんなことをしている人をそうそう見かけません。その車両で一番ほっとしたのは毛糸を出して編み物をしているご婦人でその次に私がアナログな感じでした。これではちょっとトイレに行こうとしてもなかなか勇気がいるものでお隣のパソコンを閉じてもらうという事をお願いしなければならず、結構我慢比べのような東京行きでした。

ジェットストリーム

むかし、日付が変わる頃、ジェットストリームという番組がFM放送で流れていました。時刻になるとミスターロンリーの音楽とともにナレーションが始まって、本当に夜中に地平線に向かって飛び立つ飛行機が目に浮かぶようでした。さてそれから数年、私は冬の夕方星空に向かって飛び立つパンアメリカンの飛行機に乗ってLos Angeles空港に向かった時、頭の中にこのナレーションとミスターロンリーが聞こえてきました。数時間後に降り立ったカリフォルニアの青い空のもと当時学生に大流行りだったバックパッカーの一人旅をし、素晴らしい人と景色に出会ったのです。