suetumuhanaのブログ

日常のエッセイ

昔、パイ屋さんでアルバイトをしていた

大きなビルの地階にあるちょっと有名なパイ屋さんでアルバイトをしていました。パイのなまえが全部フランス語の日本語読みでなかなか覚えられませんでした。今のように、小さなタブレットに入力などということはなくて、小さなメモ用紙にパイのなまえと「正」の字を書いていって個数を中に伝えるのでした。このアルバイトの休憩時間に近くのコーヒーショップによく行きました。狭い階段を上ったカウンターが5席ほどの店でした。マスターはコーヒー豆を一杯分だけ挽いて布ドリップで入れてくれます。文字通り挽きたての味でした。このマスターは以前タクシーの運転手をされていたそうで、でも家庭の話は全く聞きませんでした。「上手なひとが淹れた布ドリップが一番おいしいコーヒー」というのが彼の信念でした。そのころはちょっとはコーヒーの味がわかったつもりでブラックの「グァテマラ」をいつも口にしては酸味と苦みがいいなぁなどと思っていたものです。

鴨川の河原

初夏から祇園祭そして大文字五山の送り火のあたりまで鴨川の河原には多くのカップルが腰をおろして二人の時間を過ごしている風景がよくみられます。けれど、私は鴨川の河原に座るのに一番いいのは絶対冬だと思っています。空気が澄んでいて街の明かりもキラキラしていてなんといっても冷たい気温がなんとも二人のこころをあたためてくれると思いませんか。昔は向こう側に京阪電車が走っていて定期的に響くその電車の出す音も素敵だったんです。

街はだんだんクリスマスの様相です。

ビルの飾りつけや商店街の飾りがクリスマスに模様替えです。街が急に華やかになって何か人々がそれに乗り遅れないように焦っているように見えます。その角を曲がった細くてちょっと薄暗い街角にこそイエスはキリストとして立っていてそして私たちの人生の歩みに寄り添っているんでしょう。涙を流す人とともに涙を流すためにこの世に来られたんですよ。きっと。