suetumuhanaのブログ

日常のエッセイ

京都の秋

嵐山というと観光地の真っただ中という感じか満載です。ところが嵯峨野というとちょっと奥まった静かな場所という感じですよね。さらに奥嵯峨というともうこれはひっそりとした人里はなれたところです。私はこの奥嵯峨に大変好きなところがあります。落柿舎からまだずっと奥の祇王寺というお寺のさらに上にある滝口寺です。ほんとに何にもないひなびた庵という言葉がぴったりの建物です。あまり観光の方もいません。ただ庭に面した畳に座って時間を過ごすだけです。このお寺、35年ほど昔、いつも、ひとりおばあさんがちょこんとたたずんでられて訪問者に「滝口入道と横笛」の悲恋の物語を語ってくださいました。だいたい15分くらいのお話だったと思います。私はその同じ話を幾度も聞きにこのお寺を訪ねました。もうとっくにおばあさんはいらっしゃいませんが私は今も時折この思い出をたどりにこのお寺に行きます。

16歳の秋の日の一日は楽しかったなぁ

ケーキ屋さんの不二家のペコちゃんの前で待ち合わせをしました。ちょっと遅れて彼女がやってきました。そんなに話すことが浮かびません。それどころかどこへ行こうかもよくわかりません。とりあえず二人は近所の公園にいきました。広い公園です。ジョギングしている人もいます。芝生もあります。近所の大学の体育会の一団がランニングをしています。ベンチにすわって学校のことなど話したんだと思います。日差しが気持ちよかったなぁ。でも私たちがデートしたのはこの日いちにちだけです。私は友人にはなってもお付き合いの相手にはなれませんでした。二人で街を歩いたことだけで幸せだったなぁ。

もう40年も昔のことになりました

その日の夜、友人に付き添ってもらって近所の公衆電話まで行きました。彼女の家に電話するためです。当時、携帯電話などというものはありません。ダイヤルを回した時の緊張といったらなにものにも代えがたいものがありました。電話には彼女のお母さんがでられました。わりとあっさり電話を彼女に代わってもらえましたがそのあとのことはよく覚えていません。とにかく次の日二人で会う約束を果たしたのできっとそのようなことをしゃべったんだと思います。それが40年前の今日です。そんな事柄をふと思い出しました。翌日のことはまた後日のお話にしましょう。