suetumuhanaのブログ

日常のエッセイ

秋の景色

夜に虫の音がコロコロと聞けてなんともすずしい。少し前には道端にコスモスの花が都会でも咲いているのが見られたように思います。春先には水がぬるむという言葉があるようですが秋にはみずがひんやりと気持ちよくなります。でもそれをあらわす言葉はないようですがなんとも鴨川の水がひんやりしてくるのが気持ちまできりっとしてきます。このあと金木犀の香りが街じゅうに漂い始めもうすっかりあきになるんですねぇ。ほんとに待ち遠しいことです。

ようやく涼しくなった夜に

昨日の夜はどうしようもなく暑くて逃げ場がないような夜でした。今夜ようやく今年の夏も生き延びたような涼しい夜になりました。昔からこうしてどうしようもない夏に様々な病気が流行しそこで人々はいろんな魔除けや呪術をして死神から逃げる季節だったんでしょう。そして実際には多くの人の命が夏に消えていったんだと思います。そんなせいで夏の行事は「死者の魂が安かれ。」と願うものやまた「病魔よ去れ。」と祈るものばかりだったんだと思います。そんないにしえの人々と同じように私も毎年夏が終わるとようやく「ああ今年も生き延びた。」と大いなる畏怖の基に感謝するんです。

万年筆が見つかった

もう40年ほど昔、おそらく高校入学の折に買った極細のペン先の万年筆がふとしたことから見つかりました。私は、このペンに必ず黒インクを入れました。極細で黒インクで書く文字がいちばん神経質に見えてかっこいいと思っていました。このペンで多くの手紙を書きました。おそらく愛する言葉を書いたことでしょうしまた文字で人を知らずに傷つけたことでしょう。そんなことで人生に寄り添っていたといえるペンです。ある日もうお付き合いをしなくなった女性からお手紙をいただきました。水色の文字でした。「文字が水色ですが意味はありません。」と文末に書かれた文章にちょっと心が揺れました。「喫茶店で時間をつぶすこと」や万年筆で手紙を書くことがキラキラした時間だったあのころのおとぎ話です。