suetumuhanaのブログ

日常のエッセイ

クチナシと沈丁花と金木犀

公園の周りの植え込みからやたら甘い香りがします。初夏に漂うには少々むせかえるような香りでかなり遠くからでも風に乗って漂ってくるときにはどこら辺にクチナシが咲いているのか視界に入るより先に嗅覚に覚えるような香りです。さて、初夏にはこのクチナシが我が物顔でいい香りを漂わせますがやがて秋には金木犀が町中にいい香りを放ってあの不快だった夏の暑さをすっかり掃除してくれるようです。そういえば春のまだ浅い頃ーそしてこのころが一年で私の一番好きな季節ですがーには沈丁花が漂います。私の一番嫌いな季節の夏にはそういえばお気に入りの香りが街に漂うことがないのです。海にも山にもいかない私の毎年の夏はとても街中で花の香りを感ずるどころではないのです。せめてもの慰みにと今年は夕顔の苗をホームセンターで買ってきて植木鉢を縁先に置いておきました。

もうすぐ花火の季節です

今は、家庭でする花火なんかでも大変きれいなのがあるんでしょうけど、私が小学生の頃は火が噴水のように舞うような花火は高価でしたのでもっぱら音のする花火ばかり買ってやったものです。私たちはそれを「クラッカー」とか「たたみ」とか「2B」とか呼んでいました。私たちは何しろそれを街中の公園でやるものですから時に近所の大人たちに大声で怒鳴られたりしたものです。「やかましい!」とか「うちには赤ん坊がいるので静かにしてくれ!」とか言われまくりでした。そこである知恵者が花火を砂に埋めて破裂させることを思いついたんです。破裂の瞬間に砂が飛び散ってスリル満点なうえにそんなに音がしないのでこれは私たちにとって好都合でした。ところがそんなルールの一線を越えるすごいことを思いついたやつがいたんです。当時、公園には犬のフンがよく散らばっていたんでそれに「クラッカー」を差し込んだ奴がいたんです。あとはご想像にお任せしますがその後の花火のスリルは砂に差し込んだものなんかの比ではありませんでした。

ダイナー

ロスアンゼルスの長距離バスの乗り場はその頃大変治安の悪い場所でした。何しろそこを夜中近くに出発するバスに乗る必要があるのでまだ宵の口に友人に車で停留所まで送ってもらってとにかく夜の更ける前に乗車場に入りました。バス乗り場といってもたくさんの路線のバスが出入りしていてちょっとした都会のJRの駅のようでした。夜が更けてそこから出たバスはいかにも治安の悪そうな都会の大通りを通ってフリーウェイをひた走りました。やがて州の境を越えて夜明けの砂漠をひた走り一軒の小さな食堂に入りました。カウンターに座ってサンドイッチとコーヒーを飲み隣のおじさんに「時差があるから時計を一時間進ませておくように」と言われなんかアメリカにタバコのコマーシャルに出てきそうな一場面だなぁと思ったものでした。そして最近似たテレビ番組であのような小さな食堂を「ダイナー」というんだということを知りました。